診療放射線技師・臨床検査技師の年収は大卒と専門卒で差がつくか
診療放射線技師・臨床検査技師の年収は大卒と専門卒で差がつくか

「大卒と専門卒で年収に差がつくのか」という疑問を持っている方は多いと思います。
この記事では、制度上の事実と参考になる統計の両方を整理してお伝えします。ただし、技師の職種に特化した学歴別年収の公的統計は現時点では存在しません。そのため、あくまで参考として使える一般的な傾向を出典付きで示します。
養成課程の種類
まず、この職種の特徴として重要な点を説明します。
診療放射線技師も臨床検査技師も、合格しなければならない国家試験は大卒でも専門卒でも同じです。 試験の内容・水準は学歴によって変わりません。
受験資格を得る2つのルート
診療放射線技師の場合(診療放射線技師法 第20条)
| ルート | 課程 | 最低修業年限 |
|---|---|---|
| 大学(文部科学大臣指定学校) | 4年制大学 | 4年 |
| 養成所(厚生労働大臣指定) | 専門学校(専修学校・各種学校) | 3年 |
出典:診療放射線技師法(昭和26年法律第226号)第20条。e-Gov法令検索(https://laws.e-gov.go.jp/document?lawid=326AC0100000226)で確認できます。
臨床検査技師の場合(臨床検査技師等に関する法律 第15条)
| ルート | 課程 | 最低修業年限 |
|---|---|---|
| 大学(文部科学大臣指定学校) | 4年制大学 | 4年 |
| 養成所(都道府県知事指定) | 専門学校(専修学校) | 3年 |
出典:臨床検査技師等に関する法律(昭和33年法律第76号)第15条。e-Gov法令検索(https://laws.e-gov.go.jp/document?lawid=333AC1000000076)で確認できます。
どちらの職種も、3年制の専門学校を卒業しても4年制の大学を卒業しても、受験資格を得て同じ国家試験に合格すれば、業務上の権限は同じです。資格そのものに学歴による区別はありません。

初任給に差が生じる理由

資格の内容は同じでも、就職時の初任給に差が生じることがあります。その理由は、多くの職場が学歴別に初任給の規程を設けているからです。
これは技師に限った話ではなく、日本の多くの職場で見られる一般的な慣行です。
参考:全労働者の学歴別初任給の傾向
厚生労働省の賃金構造基本統計調査(2023年)では、全業種・全職種の新規学卒者の所定内給与額として以下の数字が確認できます。
| 学歴 | 初任給(所定内給与額の参考値) |
|---|---|
| 大学卒 | 約228,500円(2023年平均) |
| 高校卒 | 約185,000円(2023年平均) |
出典:厚生労働省「令和5年賃金構造基本統計調査」(2023年)新規学卒者の所定内給与額
重要な注記:上の数字は全業種・全職種の平均です。診療放射線技師・臨床検査技師という職種に特化した学歴別の初任給データは、この統計には含まれていません。 専修学校卒の区分は同統計で別途集計されていますが、職種別の内訳はありません。
つまり、「技師として大卒で入ると月収いくら、専門卒で入るといくら」という数字は、現時点では公的統計から取れません。実際の差は職場の規程によって異なります。
昇進・任用への影響

初任給以外に差が生じる可能性があるのは、昇進・任用の面です。
一部の職場では、管理職への登用条件として学歴要件を設けているところがあります。ただし、これは職場の就業規則によって異なるため、一律に「大卒でないと管理職になれない」とは言えません。
技師として働いている方の多くが経験しているのは、学歴よりも勤続年数・経験・スキルが評価に影響するという実態です。
年収差の実態:どこで働くかの差のほうが大きい

診療放射線技師の年収データを施設種別・企業規模別に見ると、同じ資格を持ちながら施設の違いだけで年間数十万円から百万円以上の差があることが確認できます(詳しくは「給料が高い職場はどこか」をご覧ください)。
大卒か専門卒かの違いと、どの施設で働くかの違いとでは、後者の影響のほうが年収に大きく出る傾向があります。転職・施設の選択のほうが、学歴の違いよりも年収に直結する選択肢になりえます。
なお、これは統計の傾向から言えることであり、転職によって年収が上がるかどうかは個人の状況と求人条件によって異なります。
まとめ
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 国家試験の内容 | 大卒・専門卒で同一 |
| 資格・業務範囲 | 学歴による区別なし |
| 初任給 | 職場規程次第(大卒が高いケースが多い) |
| 昇進・任用 | 職場によって異なる |
| 年収全体に影響する要因 | どの施設・地域で働くかのほうが差が大きい傾向 |
学歴よりも、どの施設でどの経験を積むかのほうが、長期的な年収に影響する可能性があります。
転職を検討している方へ

大卒か専門卒かに関わらず、自分の市場価値を把握するうえで有用な方法の一つに、転職エージェントへの登録があります。
登録は無料で、求人の給与レンジを確認するだけの利用も可能です。自分の経験・資格に対してどのような給与条件の求人があるかを確認することが、年収を考える具体的な出発点になります。
転職するかどうかの判断は、情報を集めてからで十分です。
年収を上げる手段の詳細は「年収を上げる手段の比較」でまとめています。
使用したデータ
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 法令(診療放射線技師) | 診療放射線技師法(昭和26年法律第226号)第20条 |
| 法令(臨床検査技師) | 臨床検査技師等に関する法律(昭和33年法律第76号)第15条 |
| 参考統計 | 厚生労働省「令和5年賃金構造基本統計調査」(2023年)新規学卒者の所定内給与額 |
| 統計の注意 | 上記統計は全業種・全職種の数字であり、診療放射線技師・臨床検査技師の職種別学歴別データは含まれていません |
法令の原文は e-Gov 法令検索(https://laws.e-gov.go.jp)で確認できます。
関連記事
- 「診療放射線技師の年収」(ピラー記事)
- 「臨床検査技師の年収」(ピラー記事)
- 「給料が高い職場はどこか(施設種別で比較)」
- 「年収を上げる手段の比較」